先に結論からお伝えします。今回、JACリクルートの担当コンサルタントの方から同じ会社の、性格の違う2つのポジションを同時にご紹介いただきました。片方は工場のデジタル化を進める企画職、もう片方は電気設備を現場で守り続ける保全職です。
どちらも私のこれまでの経験の延長線上にあります。でも、2枚の求人票を並べて読んでいるうちに、「経験が活きる」ことと「経験を活かして次に進む」ことは、実は別の話なのだと気づかされました。
今回は、その2枚の求人票の中身と、並べて見えてきた自分なりの気づきをまとめます。
きっかけは、1通のメールに載っていた2つの求人
紹介元は、愛知県内にある素材系メーカー(ここでは仮にF社とします)。自動車部品向けの金属素材や鍛造品などを製造している会社です。
担当コンサルタントの方からのメールには、F社の求人として2つのポジションが並んで載っていました。同じ会社からこういう形で紹介を受けたのは、私にとって初めての経験でした。勤務地はどちらも愛知県内、雇用形態は無期雇用・月給制で共通しています。年収レンジは400万〜950万円とかなり幅広く、これは以前の[体験談⑱](/blog/jac-body-production-engineering)でも触れた「経験・スキルで決まる」パターンだろうと受け止めました。
条件面はほぼ同じ。違うのは、仕事の中身と、会社の中での立ち位置でした。
ポジション1:工場DXの企画・推進
1つ目は、工場のデジタル化を企画・推進する仕事でした。求人票の内容を整理すると、こんな感じです。
- IoT基盤の構築:国内全工場に共通のIoT基盤を作り、それをベースにした「見える化」システムを導入する
- 保全業務の効率化:デジタルツールを使って、保全の仕事のやり方そのものを効率化していく
- セキュリティ対策の推進:工場設備のセキュリティ対策を進める
読んでいて感じたのは、これは「保全をデジタルで変えていく側」の仕事だということです。全社の仕組みを設計し、複数の工場を横断して仕組みを作っていく。現場から一段離れた、企画寄りのポジションだと感じました。
ポジション2:電気設備全般の保全
2つ目は、受変電から設備制御まで、電気設備全般の保全を担う仕事でした。こちらも整理すると次のとおりです。
- 老朽設備の更新:受変電設備から設備制御まで、老朽化した設備を計画的に更新していく
- 新設備建設への参画:新しい設備を作る際の建設プロジェクトに関わる
- トラブル対応:企画・予算化・仕様決定から、設計・工事方案の立案、大規模な補修工事、トラブル時の原因追及と再発防止、復旧方案の立案まで、一連の流れを担う
こちらは、まさに「保全を現場で担い続ける側」の仕事です。設備が壊れれば直る方法を考え、老朽化すれば更新の計画を立てる。地に足のついた、実務寄りのポジションだと感じました。
2枚を並べて、初めて見えてきたこと
正直なところ、最初にメールを読んだときは「どちらも自分の経験が活かせそうだ」としか思いませんでした。設備保全の経験があれば、保全の実務ポジションはもちろん合いそうですし、現場を知っているからこそ、DXの企画側でも「現場感のある提案」ができそうな気がしたからです。
でも、2枚の求人票を並べて眺めているうちに、違う見え方をしてくるようになりました。
ポジション2(保全)は、「今の自分の経験」がそのまま活きる求人だと思います。トラブル対応の流れも、老朽設備更新の考え方も、これまでやってきたことの延長線上にある。安心感がありますし、即戦力として評価されやすいだろうとも感じました。
一方で、ポジション1(DX)は、「今の自分の経験を土台にして、次のステージに進む」求人だと感じました。現場の知識は活きるはずですが、求められるのはそれをどう仕組み化するか、どう全社に展開するかという、これまでとは違う種類の力です。
同じ会社の、同じ「保全」という言葉が関わる求人なのに、5年後・10年後に自分がどこに立っているかは、まったく違う場所になるだろうと感じました。
「経験が活きる」と「経験を活かして進む」は別の話
この気づきは、私にとって地味に大きなものでした。転職活動では「自分の経験が活きる求人かどうか」ばかりを判断基準にしていましたが、それだけでは足りないのかもしれないと感じたからです。
- 経験が活きる求人:今までの延長線上で、安定して力を発揮できる。ただし、5年後もあまり変わらない景色が続く可能性がある
- 経験を活かして次に進む求人:これまでの経験は土台になるが、新しく学ぶことも多い。うまくいけば、今までとは違う景色にたどり着ける
どちらが正解ということではないと思います。安定して力を発揮できる場所を選ぶのも一つの判断ですし、経験を土台に新しいことへ踏み出すのも一つの判断です。ただ、この2つを区別せずに「経験が活きるかどうか」だけで求人を見ていると、大事な分かれ道を見落としてしまうのかもしれないと感じました。
同じように複数の求人を比較検討している方には、「今の自分に合うか」だけでなく、「その先にどんな自分がいそうか」も並べて考えてみることをおすすめしたいです。
まとめ
- 同じF社から、工場DXの企画・推進と、電気設備全般の保全という、性格の違う2つのポジションを同時に紹介された
- ポジション1(DX)は保全を「変える側」の企画寄りの仕事、ポジション2(保全)は保全を「支える側」の現場寄りの仕事
- どちらも自分の経験の延長線上にあるが、5年後・10年後に立っている場所はまったく違うと感じた
- 「経験が活きる求人」と「経験を活かして次に進む求人」は別の軸で、両方を並べて考える必要がある
- 応募先を決めるより先に、この2枚を並べたことで自分の判断の軸が少し見えてきた
次回は、この2つのポジションについて担当コンサルタントの方とどう話し、最終的にどう考えたかをお伝えしたいと思います。