【2020年6月施行】パワハラ防止法とは?パワハラの定義化は労働者を守れるか

いよいよスタートですね。パワハラ防止法。一番のポイントはこれまで曖昧だったパワーハラスメントが法律で定義されたということでしょう。ただの社会問題でしたからね。今までは「いい大人が弱い者いじめしてんじゃねーよ」というモラル問題でしかしてくれなかったわけですから大きな進歩です。

ちなみにですが正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(略称:労働施策総合推進法)」です。長いですね。

このパワハラ防止法、私のスタンスとしては「期待し過ぎず、でも武器にはなるのでしっかり学んでおこう」といった感じです。
武器のダウンロードは以下のページ。12ページのPDF文書です。
厚生労働省(パワハラ防止指針令和2年6月1日適用)

法律のことは難しすぎて嫌い!という方のためにダイジェストだけお伝えしておきましょう。

1分で分かるパワハラ防止法
  1. パワハラはどのような行為のことを指すのか定義した
  2. 事業主は相談窓口の設置など、義務付けられる措置が出来た
  3. 罰則はないが、企業名の公表はあるので抑止力になる

ご理解して頂けましたでしょうか。

「今日から〇〇は法律でパワハラになるから注意してね。従業員が悩んだときに相談できる窓口を作ってね。違反したら今のところ罰則はないけど、企業名晒すから覚悟してね。」こんな感じです。

注意としては、中小企業は2022年4月スタートだということ。ただ、施行するまでパワハラしていいということではありませんけれど。

それではもう少し詳しく理解したい方は先へ進んでください。

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参考ページ:厚生労働省

公式の情報は厚生労働省のホームページにあります。

厚生労働省:職場におけるハラスメントの防止のために

動画での解説もされています。パワハラについては16分20秒あたりからの視聴でも大丈夫です。

パワハラとは?法律で規制されるパワハラの定義

パワハラは3つの要件で定義され、典型的なパワハラを6つの類型で紹介されています。

3つの要件

職場におけるパワハラは以下の3つ全てを満たすものと定義されています。

  1. 優先的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

例えば「優先的な関係を背景とした言動」とは、言動を受けるものが拒絶できない立場、上司と部下などがそれにあたります。また組織的な上下関係がなくても、社歴の長い先輩と新入社員の関係でもパワハラになり得ます。同僚でも成績の良い社員と悪い社員では優先的な関係と見られる場合もあるでしょう。
自分がパワハラ側になることがないように注意しましょうね。

6つの類型

典型的なパワハラは以下の6つとなります。

  1. 身体的な攻撃(殴る蹴る)
  2. 精神的な攻撃(暴言を吐く)
  3. 人間関係からの切り離し(集団で無視する)
  4. 過大な要求(無理なノルマを課す)
  5. 過小な要求(仕事を与えない)
  6. 個への侵害(個人情報を暴露する、家族のことをしつこく聞く)

この6類型に該当しない場合でもパワハラだとされるケースもあります。パワハラになるかどうかは総合的に判断されるべきものとされています。

事業主が行わなければならない義務

  1. 社内方針の明確化と周知・啓発
  2. 相談に適切に対応するための体制づくり
  3. パワハラが発生した場合の迅速・適切な対応
  4. その他併せて講ずべき措置

まず社内でパワハラ防止を行うことを周知徹底しなければいけません。そして労働者が相談したいときにどこの、誰に相談すればよいか明確にする必要があります。

またパワハラが発生した際も迅速かつ適切な対応を取らなければなりません。
状況を把握し、被害者に配慮措置を行い、加害者に必要な措置を行い、再発を防止します。

またこれらに併せて大切なことが相談者が不利益を被らないようにすることです。相談者のプライバシーを守り、相談することで降格や解雇などにならないようにしなければいけません。

罰則について

パワハラに罰則規定は儲けられていません。ただし厚生労働省の勧告に従わない場合、企業名の公表が可能です。

またパワハラに罰則がないとはいえ、パワハラ時の暴力や暴言で暴行罪、脅迫罪などの罪に問われた場合は刑法の規定に応じて処罰されます。

パワハラ防止法は労働者を守れるか

このパワハラ防止法、どこまでの抑止力があるのかはわかりません。しばらくは期待しすぎない方が良いと私は考えています。なぜならこのハラスメント関連の法律はセクシャルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとして既に整備されている部分がありますが、現場では未だに事業主の意識、社員たちのモラルレベルで決まっている部分がほとんどだと感じるからです。

これからハラスメントについては改善が進んでいくはずですが、施行日から突然会社がガラリと変わるようなことはないと思っておきましょう。

まとめ:会社の対応を確認しよう

パワハラ防止法がどこまで労働者を守れるか、どの程度の抑止力になるのかはわかりません。しかし我々労働者がやっておくべきことはあるはずです。

  • 相談窓口の設置を確認する
  • 上司のパワハラ防止法に対する理解度を確認する
  • 自分の部下や年下の同僚などへの「自分の言動」に注意する

6月から会社がどう変わったのか、上司はパワハラ防止法を知っているのかを確認しましょう。(上手に聞きましょうね)
そしてもちろん、自分もパワハラの言動になっていないか、弱い立場の社員への接し方を改めて意識しておきましょう。

おむ
おむ

自分が若い頃に上司にやられて嫌だったこと、知らず知らずやってしまっていませんか?